私たちの思い
私たちは、子どもの頃から大切な家族に病気や障害がありました。子どもながらに、家庭内の雰囲気を察しては、自分に何ができるかを考えて、家事やケアを担ってきました。
「他の家族まで倒れてしまったらどうしよう?」という心配もしてきました。周囲から「頑張って」と言われ、「私しかいない」と思い、学業とケアを両立しながら家族を守ろうと奮闘してきました。
でも、私たちは子どもだったので、本当は、可愛がられたり、褒められたり、気にかけてもらったり、話を聞いてもらったり、抱きしめられたり、守られたりしたかったのです。
そんな気持ちをグッとしまい込んで、周りの友達のように“普通”に生活を送ろうと頑張ってきました。家族には気持ちを悟られないように、友達には家の事情を知られないように…。
大人になってヤングケアラーという言葉を初めて知りました。その時、「ケアをするあなたも、かけがえのない大切なひとり」と気付いたのです。
最初は“自分を大切にする”ということがどういうことか良く分かりませんでしたが、意識的に“ケアから距離をとる”ことから始めました。それは同時に“家族に後ろめたさを感じる”ことでもありましたが、結果的に“自分の心を守る“ことになりました。
私たちはこれまで、自分の時間の多くを家族のために費やしてきました。家族に向けてきた“愛”を今度は自分に向けていくことで自分の幸せを“許せる”ようになりました。
家族に向ける”愛”も、自分に向ける”愛”も同じ“愛”です。自分にとって心地よい道を選択しようと思うようになりました。
そんな時間を積み重ねていくことで徐々に笑えるようになり、「家族が病気でも障害でも大丈夫」「なんとかなる」という新たな自分に出会うことができたのです。
最後に、介護を避けて通れない時代“1億総ケアラー社会”に立ち向かい、先に介護を経験してきた私たちが、“ヤングケアラーでも大丈夫な社会”のために、“ラフィングケアラー(笑っているケアラー)”として笑顔と癒しを種まきしていきます。そして、ヤングケアラーさんやケアラーさんがたくさんのラフィングケアラーに変容していく社会を作っていきます。